訪問看護開業を成功させるには「開業方法」よりも経営モデルが重要
訪問看護ステーションの市場は、高齢化や在宅医療の推進を背景に今後も需要拡大が期待されています。そのため、「訪問看護を開業したい」「フランチャイズ(FC)に加盟して独立したい」と考える医療法人や介護事業者、看護師の方も増えています。
一方で、開業すれば自然に利用者が集まり、黒字になる時代ではありません。
人材採用、営業、DX、制度改正への対応など、経営者として取り組むべき課題は数多くあります。
さらに近年は介護業界全体を取り巻く環境も変化しています。
2025年には、訪問介護事業者の倒産件数が11月時点で85件となり、3年連続で過去最多を更新しました。売上不振、人材不足、介護報酬改定などが重なり、中小規模事業者を中心に厳しい経営環境が続いています。
この状況は訪問介護だけの問題ではありません。
訪問看護も「経営の仕組み」がなければ同じ課題に直面する可能性があります。
だからこそ重要なのは、
「どのように開業するか」ではなく、「どのような経営モデルで事業を継続するか」
なのです。
訪問看護開業には大きく3つの選択肢がある
現在、訪問看護を始める方法は大きく分けると次の3つです。
① 自社でゼロから開業する
もっとも自由度が高い方法です。
理念やサービス内容を自由に設計できる一方、
- 採用
- 営業
- 利用者獲得
- DX
- 請求業務
- マニュアル整備
まで、すべて自社で構築する必要があります。
成功すれば大きな資産になりますが、経営経験が少ない場合は負担も大きくなります。
② フランチャイズへ加盟する
近年増えているのがフランチャイズです。
メリットとしては、
- ブランド力
- 開業ノウハウ
- 研修
- マニュアル
- システム
などを活用できます。
しかし、
加盟金
ロイヤリティ
運営ルール
ブランド制約
などもあります。
つまり、
「加盟したから成功する」
というものではありません。
③ サテライトモデルという選択肢
最近では、
例えば、
既に利用者を抱える法人であれば、
開業初月から一定の利用者を引き継ぐことが可能です。
その結果、
大きな借入を前提としない開業モデルも実現できます。
これは近年非常に注目されている考え方です。
フランチャイズは万能ではない
「FCなら安心」
と思われる方も多いですが、
実際には、
フランチャイズも経営です。
加盟後に必要なのは、
- 看護師採用
- 利用者獲得
- 地域営業
- 売上管理
です。
本部がすべて利用者を紹介してくれるわけではありません。
経営者として数字を見る力は必要になります。
2025年の訪問介護倒産増加から学ぶべきこと
2025年、訪問介護事業者の倒産件数は過去最多となりました。
背景として挙げられているのは、
- 人材不足
- 基本報酬引き下げ
- 人件費高騰
- ガソリン代
- 光熱費
- 採用費
などです。
特に、
従業員10名未満、
負債1億円未満の小規模事業者が多数を占めました。
つまり、
小規模だから危ない
のではありません。
仕組みがない小規模事業者が厳しい
ということです。
これは訪問看護でも十分起こり得ます。
安全な経営を実現するための5つのポイント
私たちは訪問看護経営では、
「売上を増やす」
より、
利益を残せる仕組み
を重視しています。
例えば、
① 毎月安定した新規利用者を獲得する
営業を属人的にしない。
病院。
クリニック。
ケアマネジャー。
地域包括。
相談支援専門員。
こうした紹介ルートを仕組み化します。
② DXを積極的に活用する
記録。
請求。
勤怠。
スケジュール。
訪問ルート。
これらをICTで効率化することで、
医療者が患者へ向き合う時間を増やします。
③ 医療者へ事務作業をさせない
看護師は、
患者を見る専門職です。
事務業務を減らし、
訪問へ集中できる環境が、
生産性向上につながります。
④ 採用を継続的に行う
人が辞めてから募集する。
では遅くなります。
採用は営業活動と同じです。
常に情報発信を続けることが重要です。
⑤ 利益を人材へ還元する
利益は、
経営者だけのものではありません。
利益があるから、
給与を上げられる。
待遇改善ができる。
教育へ投資できる。
その結果、
さらに人が集まる。
この好循環が重要です。
訪問看護開業で重要なのは「利用者がいる状態」で始めること
開業で最も苦しい時期は、
利用者が少ない時です。
そのため、
私たちは、
営業から始める。
サテライトで始める。
既存法人との連携から始める。
など、
開業初月から一定売上が見込める状態をつくることをおすすめしています。
借入金だけを頼りに開業するより、
はるかにリスクを抑えることができます。
フランチャイズを選ぶ前に確認したいポイント
加盟を検討する場合は、
次の点を確認すると良いでしょう。
- ロイヤリティ
- 加盟金
- 営業支援
- 採用支援
- DX支援
- 請求代行
- バックオフィス
- ブランド力
- エリア制限
- 契約期間
重要なのは、
加盟後に利益が残る仕組みかどうか
です。
訪問看護は「開業」がゴールではない
訪問看護は、
開業することが目的ではありません。
地域に選ばれ、
10年、
20年、
継続して運営できることが重要です。
そのためには、
制度改正。
人材不足。
物価上昇。
報酬改定。
こうした変化にも耐えられる経営モデルが必要になります。
まとめ|これからの訪問看護開業は「仕組み」で差がつく時代
訪問看護市場は今後も拡大が期待される一方で、経営環境は決して楽観できるものではありません。
訪問介護事業者の倒産件数が過去最多となったことは、「需要がある=経営が安定する」ではないことを示しています。
これから訪問看護開業やフランチャイズ加盟を検討する経営者に必要なのは、
- 開業前から利益が残る仕組みを設計すること
- DXやバックオフィスを活用して生産性を高めること
- 採用・営業・地域連携を継続的に行うこと
- 利益を人材へ還元し、働き続けられる職場をつくること
です。
フランチャイズという選択肢も、自社開業という選択肢も、それぞれにメリットがあります。しかし、最も重要なのは「どの仕組みなら地域に必要とされる訪問看護ステーションを長く運営できるか」という視点です。
私たちは、訪問看護ステーションの開業支援だけでなく、採用、人材育成、DX、収益構造、サテライトモデルなどを含めた経営全体の設計をご提案しています。
これから訪問看護事業への参入や事業拡大をご検討されている方は、「開業」だけでなく、「持続可能な経営モデル」という視点から事業設計を考えてみてはいかがでしょうか。